アフターコロナで飲食店に活気が戻っても、さまざまな食材や光熱費の高騰が利益を圧迫します。そこで、人気がある割に仕入れ値は抑えられる食材を使って、利益の出るサイドメニューを考えていくことにしましょう。
日本人はどうしてこんなにじゃがいもが好きなんだろう
煮ても揚げても美味しく仕上がるじゃがいもは、ローコストで人気のある、飲食店にとっては嬉しい食材です。使い方ひとつでホッとする和食にも、お洒落なカフェメニューにもなって便利ですね。
では、じゃがいもでどうやって利益を出していくか、そのコツを3つにまとめて見ていきましょう。
【コツその1】じゃがいもの選び方を見直す
じゃがいもの選び方コツその1
じゃがいもには様々な品種があります。目新しくて目を引く、珍しい品種もいろいろ出てきました。でもここで選ぶのは平凡で、数多く出回っている普通の品種です。
なぜなら、そうした品種は基本的に安定供給されているので、価格の変動が少ないと考えてよいからです。そして、当たり前ですが、そういう品種は価格がこなれているので、仕入れ値を抑えることができます。
じゃがいもの選び方コツその2
ここで忘れてはいけないのは、じゃがいもの形です。ごつごつして芽が多く深い品種は皮をむいたり、芽を取ったりすることに時間がかかります。飲食店にとって「時は金なり」なので、仕入れ値の安いじゃがいもを使っても、下ごしらえに時間がかかっては意味がありません。男爵なら皮ごとカットし、茹でてから皮や芽を取るなどの工夫をしたり、メークインも揃えておいたり、男爵より高くても皮が薄くて芽が出にくく、メニュー展開も万能な十勝こがね一択にするなど、いくつかの判断が必要なところです。
【コツその2】人気のサイドメニューを見直す
じゃがいもを使ったサイドメニューで鉄板なのは、フライドポテト、じゃがバター、ポテトサラダが筆頭に上がるところでしょう。これらは人気メニューである一方で、マンネリ化しやすい諸刃の剣でもあります。
では、次は鉄板メニューの脱マンネリについて考えていきましょう。
食材費と手間をかけずに脱マンネリ
ではまず、みんなが大好きなフライドポテトを見直してみることにしましょう。
フライドポテトは塩味だけじゃない
フライドポテトは塩味、もしくはケチャップが基本になっていると思います。しかしこれではどうしてもマンネリ化してしまいます。お客様に飽きられないためには、ジャガイモの品種にこだわるしかないのでしょうか?
しかし、より美味しく目新しい品種を使うと、仕入れ値の値上がりを覚悟しなくてはいけません。それでは利益を出すのが難しくなって本末転倒です。飲食店にとってのサイドメニューとは本来、1皿でも多く注文してもらって利益を増やすためのものなのです。
流行りの味はフレーバーで取り入れる
韓国から上陸した屋台スナック、チーズボールが大人気になったのは記憶に新しいと思います。ゴルフボール大の軽い揚げ物の中にチーズが入り、お客は好みのシーズニングを振って食べるスタイルなのですが、その中にチーズのフレーバーがあります。これはフライドポテトに応用が効きます。
シーズニングの中にはさまざまなフレーバーのもがあるのをご存じでしょうか。チーズやバター醤油だけでなく、甘いフレーバー、例えばキャラメルなどもあります。映画館で売っているキャラメルポップコーンのイメージです。
本物のチーズを添えると高くつきますが、シーズニングならふりかけるだけで雰囲気が出せるうえ、マンネリを脱却しながら無理なくサイドメニューを一品増やすことができるのでおすすめです。
ディップで出すフライドポテトの楽しさ
フライドポテトのマンネリ打破に使えるのはシーズニングだけではありません。
フライドポテトの本番ベルギーでは、フライドポテトはフリッツと呼ばれ、さまざまなソースをかけて販売している人気スナックですが、一番人気のソースは何とマヨネーズです。それ以外にもピリ辛のソースなど、さまざまなソースがあります。
つまり、フライドポテトのディップはケチャップだけに限らなくてもいいということです。若い女性に人気の韓国料理には、ハニーマスタードというソースがあり、これはフライドポテトにもよく合います。
これは韓国食材店から仕入れられるほか、マスタードに蜂蜜を混ぜて簡単に自作もできるので、ぜひお試しを。肉料理や魚料理のソースにも応用できます。
サワークリームオニオン味を手軽に作る方法
ポテトチップで人気のサワークリームオニオン味を、フライドポテトのディップにするのもおすすめです。仕入れ値は極力上げたくないので、サワークリームは使いません。代わりにマヨネーズや水切りしたヨーグルトを使います。そこへガーリックパウダーとオニオンコンソメスープの素を加えればでき上がりです。
これはパンガシウスなどのリーズナブルな白身魚を、食欲をそそるメニューに仕上げてくれるソースとしても使えて便利です。
鉄板のガーリックバター
皮付きのフライドポテトを、たっぷりのバターとたっぷりのおろしにんにくでソテーするというカロリー爆弾のようなメニューは、全く凝ったメニューではないにもかかわらず、悪魔的に人を惹きつける力があります。
お金がかかるといえばバターを多く使うことですが、このメニューを美味しくするには、ほかに方法がないといえます。しかし、皮付きのフライドポテトとたっぷりのバターが好きな人は、たいていにんにく味も好きなものです。人気メニューになること間違いなしでしょう。
じゃがバターを見直す
居酒屋の定番サイドメニュー、じゃがバターは、屋台フードでも人気で、フェスの会場でもよく売れているのを目にします。茹でたり蒸したりしたじゃがいもに十字の切れ目を入れてバターを乗せるだけなので、人気なうえ、仕入れ値も人的コストも低くてすむ優等生メニューです。
しかし、これもまたマンネリ化しやすいというリスクのあるメニューでもあります。
これも一度見直してみる価値があります。
じゃがバターはトッピングで選ぶ楽しさをプラス
そこを何とかするのに活躍するのがトッピングです。
北海道ではじゃがバターにイカの塩辛が乗っているのが定番だそうですが、実際、とてもよく合っておいしいものです。東京ではお洒落なダイニングバーなどで、じゃがバターに酒盗やクリームチーズ、サワークリームなどが添えられたりするらしいですが、それではコストが跳ね上がってしまいます。イカの塩辛も安くはありませんし、ここはもっと仕入れ値を安く抑えられるトッピングを探したいところです。
負担は増やさず利益は増やす
お客さんにじゃがバターを選びたくする気持ちにさせるポイントは、選べるメニュー構成になっているかどうかということに尽きます。たくさんのメニューの中にポツンとじゃがバターが1種類だけあっても、マンネリ化していたら選ばれる可能性は低くなります。
それなら、ひと工夫し、目を引くメニューにしてみましょう。しかもお金をかけずに、店にある食材で、もしくは安い食材で。それならメニューを増やしても負担にならずに利益を産んでくれるはずです。そして、じゃがバターと相性のいい食材には3つのポイントが存在します。
ポイント①産地が同じ食材を選ぶ
ポイントその1、それはズバリ、産地が同じ食材を選ぶ方法です。産地が同じ食材は不思議と相性のよいことが多いのです。そして条件は安いこと。じゃがいもなら、ほとんどはほぼ北海道産。同じ産地で、好まれて仕入れ値も安い食材といえば、そう、スイートコーンですね。ベーコンを少し入れたコーンバターをたっぷりかけたじゃがバターに、追いバターをしたじゃがバターはおすすめです。
ポイント②バター風味をさっぱりさせる食材を使う
さっぱりさせたいなら最初からバター味は注文しないのでは、と思いがちですが、案外そうではないことは、ポテトチップのサワークリームオニオン味の人気が証明してくれています。
ポテトサラダはフードロスの出ない自家製で勝負
ポテトサラダは自家製がおすすめの理由はいくつかあります。ポテトサラダは店ごとに根強いファンがつくメニューなので、これを市販品で済ませるのは大変もったいないということがまずあります。
それでも市販品にするのは、ポテトサラダは手間暇がかかるという思い込みがあるからではないでしょうか。すなわち、刻んで水にさらして絞った玉ねぎ、刻んで塩揉みして絞ったキュウリ、刻んだハム、固茹でにして切った卵。場合によってはニンジンも。すべて別々に準備するのは確かに大変です。さらに日持ちするものではないので、残ったら確実にロスになります。
このさい、そういうポテトサラダは商店街の肉屋さんに任せておいて、飲食店では自家製で店の味を作る方向へシフトしてみましょう。そこで、ロスが出にくく仕入れ値を抑えられる方法を考えてみます。
ポイント③まずは汎用性を上げる仕込みを
じゃがいもは適当な大きさに切って加熱してからなら、皮剥きはさほど手間ではありません。そして切ってあれば火の通りは速いです。じゃがいもを切って、むいて、ゆでるだけ。ゆだったらザルに上げて水気を切り、軽く下味をつけます。ビネガー、もしくはレモン汁などの柑橘、それと塩、スパイス。よく混ぜて軽く冷ませば、もうこれで店の味はほぼ完成です。下味とスパイスで個性が決まるのです。その後、マヨネーズはほんの少しだけ加えるだけにします。じゃがいもはあまり潰しすぎない方が後から応用が効きます。
土台ができたら目先を変えていく
目先を変えるのはここからです。ここまでで汎用性の高いポテトサラダの土台ができあがっているので、何かを混ぜるだけで十分に美味しいポテトサラダになります。あとはローコストな食材をざっくりと混ぜればできあがりです。つまり、ひとつの土台でメニューのバリエーションを増やすやり方で、お客様にはより好みにあったメニューを注文していただけるのです。
例えば冷凍のインゲンをさっと茹でて、粗びき黒胡椒と共に混ぜれば大人っぽいお洒落な雰囲気を出せる一品に。
また、何種類かのドライフルーツを混ぜる、秋ならオイル控えめにソテーした舞茸とクルミなど、注文を受けてからざっくり混ぜるだけなので、少し冒険かなというようなメニューでも「本日のメニュー」として控えめに仕入れればロスが出ることはありません。
また、じゃがいもを小さめに潰して柴漬けと混ぜればお通しにもなり、市販のお通しを使っているなら、その仕入れを減らせるかもしれません。
ほかにもある、じゃがいもの人気サイドメニュー
フライドポテト・じゃがバター・ポテトサラダという三種の神器のほかに、人気上昇中のじゃがいもメニューを見てみましょう。
人気上昇中のハッセルバックポテト
三種の神器鉄板メニューのほかにも、人気のサイドメニューが登場してきています。これが提供できれば特に女性の目を引くことができるでしょう。
そのひとつがハッセルバックポテトです。
ハッセルバックポテトは皮ごとのじゃがいもを使います。
見映えよく作るには細長いじゃがいもを選ぶのがコツです。3mm程度の厚さで深く切り込みを入れて柔らかくなるまでレンチンしたらオリーブオイルをまんべんなく塗って塩を振り、本当はクリームチーズをのせてオーブン、またはオーブントースターで皮がこんがりするまで焼くのですが、クリームチーズだとコストが上がるので、ニンニク、もしくはバターとニンニクで構いません。溶けるチーズが少し乗っているとさらによく、何かトッピングで映えを狙うのもいいでしょう。
ランチメニューにもなるガレット
もうひとつ、大きめに作れば結構なボリュームが出てランチメニューにもなる、ジャガイモのガレットも人気のあるメニューです。これは芽を取ったじゃがいもを皮ごと刻むだけという簡単下ごしらえです。千切りなのでスライサーを活用してもいいかもしれません。
千切りにしたじゃがいもに薄力粉少々を合わせて塩コショウしたものの半分を、オリーブオイルを敷いたフライパンに丸く置きます。その上に溶けるチーズをパラパラと散らしたら、残りのじゃがいもを置いて、蓋をしてこんがりと焼きます。
もう片面も焼くので、あまり大きく作ると綺麗に返すのが大変になるため注意が必要です。お腹いっぱいになってしまうので、サイドメニューにするならサイズは小さめに。細長い楕円形にして、軽く何かをトッピングするとお洒落感が出ます。
ランチのメインにするなら大きすぎない円形に焼いて、カラフルなビタミンカラーのサラダと、ヘルシーな感じに焼いた鶏胸肉などを合わせると、コストをかけずに、ご飯やパスタが主食のランチのマンネリ感から脱却できます。ガレットも鶏肉も茶色いので地味にならないよう、添えるサラダでカラフルにするのが最大のポイントです。
【コツその3】ロスを出さない工夫をする
ロスを出すというのは、出した分、その食材で生むことができた利益を捨てることです。ロスを出さないためには「余分に仕入れない」「作り過ぎない」のが鉄則です。
その点、じゃがいもは日持ちのする食材なので、芽の出にくい品種を選べば、それだけでロスが少なくなります。また、光に当たるとその部分が緑色になり、緑色になったところは毒を持つので、皮ごと厚く剥くことになりますが、それもまたロスなので、暗いところで保存しましょう。
では、ほかにも、ロスを減らすアイディアを見ていきましょう。
クリーミーマッシュポテトをいくつかのメニューに展開する
これは、ひとつの仕込みを何種類かのメニューに展開するアイディアです。
あくまでもサイドメニューなので、手間暇は最低限に抑えたいところ。そのため、付け合わせにも使えるマッシュポテトの応用で、マッシュポテトより柔らかく仕上げたクリーミーマッシュポテトを作り置いておきます。
バターと牛乳、予算が許せばパントリークリームでなめらかになるまでよく混ぜてできあがり。マッシュポテトよりクリーミーで口当たりがよく、飲み込みやすいので、年齢に関係なく提供できます。これを付け合わせに使う・具材を混ぜてクリーミーなポテトサラダに使う・カラフル野菜と合わせてグラタンにする、など、無駄なく展開できます。
炒めた玉ねぎと合わせる
皮をむき、芽を取って適当なサイズにカットしたじゃがいもを加熱しておいたものと、玉ねぎを炒めておいたものを仕込んでおくと、これもいくつかのメニューに展開できます。
まずひとつがジャーマンポテト。スライスしたウインナーソーセージ、またはベーコンをサラダ油で炒めたものに、じゃがいもと玉ねぎを合わせて塩胡椒すればあっという間に完成です。
照り焼き味も高い人気を誇ります。薄切り豚肉や鶏肉を炒め、玉ねぎ・じゃがいもと合わせたら照り焼きのタレをからめ、火から下ろしたらマヨネーズを加えて混ぜ、七味唐辛子を振ります。マヨネーズは抜いても、どちらもいけます。
また、炒めた玉ねぎとじゃがいもは、小さな器で提供するミニサイズのカレーやシチュー、オムレツなどにも応用が利きます。
ロスを出さない・時短ということ
こうした「まとめ仕込み」でのポイントは、ある程度の段階まで仕込みを統一することで仕入れる商品の品数を減らすということ、あれもこれも作って結局残ってロスにするリスクを避けるということになります。
さらに「まとめ仕込み」は時短にもつながります。仕込み時間がかかり過ぎるのは時給換算してみれば一目瞭然のことなので、サイドメニューの仕込み時間や調理時間は少ないに越したことはありません。
利益を出すということは必ずしも「安いものを高く売る」ということだけではなく、「徹底的に無駄をなくす」ということでもあるのです。さらに、自分の労務時間を計算することも習慣にしてみましょう。
時短に便利な半調理品
生鮮を使うだけでは時短が難しいこともあります。そんな時は便利な半調理品を使ってサイドメニューを増やす工夫をしてみてもいいかもしれません。
じゃがいもの半調理品
業務用通販サイトでは検索すると便利なじゃがいもの時短アイテムが見つかります。
例えば仕込みにちょっと手間のかかる「いももち」や、すぐに使える「ムキじゃがいも」、また、調理済み食品ですが「ころ芋煮っ転がし」。これは季節になると出てくる、小さな新じゃがを皮ごと煮付けにした商品ですが、人参やいんげんをちょっと添えると自家製感が出ます。こうした商品の仕入れでサイドメニューを増やしつつ、賢く時短するのもいいかもしれません。
まとめ
じゃがいもを使ったサイドメニューで利益を出すなら、3つのコツや、そのほかにもまとめ仕込みやロスを出さないなどのポイントがあるということをご紹介してみました。
そしてさらに、リーズナブルな半調理品で仕入れ値を抑えながら時短もかなえるのも利益を出すためには使えるワザだといえます。
業務用食材仕入れサイト、例えば『eSmart』には、そんなニーズに応えてくれる商品があるので検索してみましょう。いい食材との出会いで、利益の出るメニューがたくさん作れますように。