コロナウイルスの第7波襲来で、かつてないほどの感染者が出ている日本ですが、今回はこれまでのような行動制限はなく、飲食店は通常営業をすることができています(2022年7月27日現在)。
ウィズコロナの時代、飲食店の衛生管理はどこに気をつけたらよいのか、改めて確認してみましょう。
店舗の消毒はこまめに
厚生労働省のウェブサイトには、「消毒」と「除菌」の違いについて解説があります。
「消毒」は、菌やウイルスを無毒化することで、「除菌」は、菌やウイルスの数を減らすことです。
お客様が来店する前に、必用な場所は「消毒」しておきましょう。ドアノブ、テーブル、椅子など、お客様が手を触れる場所をしっかり確認します。
そしてつい、コロナウイルスのことだけに気持ちが行きがちですが、怖いのはコロナウイルスだけではありません。普通の風邪のウイルス、冬場に多いインフルエンザウイルスやノロウイルス、食中毒を引き起こすカンピロバクター、腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、レンサ球菌なども見逃せませんし、お手洗いには大腸菌が多く存在します。これらをこまめに消毒していきましょう。
物の消毒
まず、お客様が頻繁に手を触れる場所を考えてみまっしょう。大勢の方が手を触れるのは、ドアノブ、椅子の背、テーブル、調味料入れ、そしてお手洗いの照明のスイッチなどが挙げられます。
さらに見落とせないのはパーティションです。ここには目に見えない飛沫が飛んでいるので、お客様が入れ替わるたびにテーブルや椅子とともに消毒する必要があります。
その時、注意しなければならないのは、何を使って消毒するかです。多くの飲食店で、アルコール消毒を行っているかもしれません。でもちょっと待ってください。パーティションの材質によっては、アルコールでは変色したり変形したりする可能性があります。
消毒
ノロウイルス対策にアルコールは使えない!
消毒する際に一番問題なのは、消毒用アルコールではほとんどのウイルスを不活化し、細菌の殺菌もできるのですが、ノロウイルスは不活化できないということです。飲食店にとって、ノロウイルスは強力で手ごわい相手です。
ノロウイルスによる感染症は冬によく発生します。これに感染すると胃腸炎や食中毒を引き起こしますが、嘔吐・下痢・腹痛・発熱などを起こし、感染するととても辛い思いをします。感染経路は食品(ウイルスに汚染された二枚貝など)や人の手指を介した経口感染で、腸管で増殖して発症します。
そのため、冬場は特にお手洗いで人の手が触れるところをしっかり消毒する必要があります。ウイルスは排泄物や吐しゃ物の中に大量にいるためです。
そして、困ったことにノロウイルスにはワクチンがありません。発症したら対処療法しかなく、脱水にならないよう水分を補いながら寝ているしかないのです。ひどい症状は2日程度で治まっても、体が回復するまでは数日かかることもあります。
では、消毒用アルコールで不活化できない厄介なノロウイルスには何を使って消毒すればよいのでしょうか?
次亜塩素酸水を使う時の注意
消毒用アルコールで不活化できないノロウイルスは、次亜塩素酸水で不活化できることがわかっています。もちろん、ノロウイルス以外のウイルスや細菌にも対応しています。現在、消毒用エタノールしか常備していない飲食店では、次亜塩素酸水も常備する必要があります。
しかし、次亜塩素酸水は多くの製品が販売されているので、何を選んでよいのか迷うかもしれません。
次亜塩素酸水を選ぶ時には、ウイルスに有効な塩素濃度200ppmを保っているかどうかをチェックすることが大切です。これより濃度が低い消毒できません。
ここで問題なのが、次亜塩素酸水は大変不安定で、在庫している間に有効成分がどんどん減っていってしまうということにあります。いったん口を開けると、そのスピードはさらに速くなります。そういった製品を使っていたとしたら、消毒しているつもりが、ウイルスは全く減っていなかったということになりかねません。
では、どんな製品を選べばよいのでしょうか。実は、在庫している間には塩素濃度が下がらない製品が開発されています。粉末タイプや濃縮タイプの製品で、使用直前に希釈するまでは塩素濃度が下がりません。そして金額はアルコールの1/5~1/10とコスパもよいので、それこそ湯水のように使えます。消毒用アルコールや塩素濃度の低くなったものをケチケチ使うのではなく、コスパのよい次亜塩素酸水をたっぷり使って消毒するのがよいのです。たっぷり濡らして、乾いた布で拭き取ります。とにかく、洗うようにたっぷり使いましょう。
次亜塩素酸水
手指の除菌対策
手や指の除菌対策で一番よいのは、石鹸やハンドソープを使って10秒間もみ洗いし、流水で15秒間すすぐことです。これで手についたウイルスを1万分の1に減らせます。なお、このようにしっかり洗っていれば、手洗い後にアルコール消毒する必要はないとされています。
その場で手洗いができない場合は、消毒用アルコールで消毒します。お客様が来店された時は、消毒用アルコールを使っていただくため、入り口にアルコール噴霧器を設置しておく必要があります。でないと、せっかく消毒した椅子やテーブルなどに、新たにウイルスや菌が持ち込まれ、無意味になるからです。ここはぜひ、お客様に協力していただきましょう。
消毒用のアルコールは、濃度が70%以上、95%以下のエタノールを使用します。この濃度でないと効果的に消毒できないのです。無水アルコールなら精製水で薄めます。
ここでなぜ次亜塩素酸水を手指の消毒に用いないかというと、「人体に用いる場合は、品質・有効性・人体への安全性が確認された医薬品・医薬部外品の表示があるものを使用すること」というルールがあるからです。次亜塩素酸水のかわりに、洗濯用の塩素系漂白剤を薄めて消毒するケースもあると思いますが、これは皮膚を荒らします。手指の消毒用には次亜塩素酸水よりさらに使えません。
なお、濃度70%以上のエタノールが入手困難な場合に限り、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えない、ということになっています。しかし、濃度70%以上のエタノールが入手可能なのであれば、そちらを選びましょう。
ハンドソープ
お手洗いの衛生管理
清潔感のある店内は、店舗の好感度を上げる大きなカギです。そして、お手洗いも例外ではありません。掃除が行き届かず悪臭がしたり、床が濡れていたり、ゴミ箱が一杯になっていたりすると、お客様はそれだけで嫌な気持ちになり、次回からは違う店にしようと思われてしまいます。そんな状況にしないために、お手洗いは時間を決め、定期的に清掃するのがおすすめです。そして、何時何分に誰が清掃し、最後に消毒したかの表をお客様の目に触れる場所へ掛けておくと、衛生管理をきちんとやっていますというアピールをすることもできます。
お手洗いは定期的に清掃し、消毒して、必用ならハンドソープやトイレットペーパー、ペーパータオルなどを補充して、切れることのないようにしておきます。衛生を気にされるお客様のため、手指消毒用の消毒用アルコールを置いておくとさらによいでしょう。衛生管理上、間違っても手を拭くためのタオルを掛けておくのはいけません。
また、お手洗いの清掃はアルバイト店員に任せることが多いと思います。その場合、人による作業のバラつきをなくすため、作業手順を決め、チェック表に記載しておくのもひとつの手です。
気の利いた店舗で、お手洗いに続く洗面所にマウスウォッシュと小さい紙コップを常備していることがありますが、お客様への気遣いとともに、店舗の清潔感をアピールするよい方法でもあります。なお、たまに見かけるプラスチック製の造花はホコリをかぶって清掃の手間が増えるだけです。常にきれいに保っておく自信がなければ、飾るのはやめておいたほうが無難です。
洗面台はなるべく物をなくしてハンドソープとアルコール程度にし、清掃と消毒をしやすくしておくのも、衛生管理の大きなポイントです。
トイレットペーパー
ペーパータオル
空気中のウイルス対策
空気中の飛沫はとても気になるものです。しかし、次亜塩素酸水で空間除菌をするのはやめましょう。効果が認められないだけでなく、お客様の皮膚や気管、目などにトラブルを起こす可能性があります。
そして、消毒用のアルコールも空間噴霧をしてはいけません。アルコールは引火性があるため、火災の危険があるからです。
アルコールや次亜塩素酸水の噴霧で空間除菌、またはお客様が入店される際に全身へ噴霧するのは百害あって一利なしです。絶対にやめましょう。
では、どう対策するかといえば、飛沫などで漂っている空気中のウイルスは、こまめな換気で空気を入れ替えるのが一番です。空気清浄機だけでは除去できませんし、アルコールや次亜塩素酸水は火災や人体への被害が出る恐れがあるので使えません。空気中のウイルス対策は換気が一番です。冬の時期の換気タイムにはお客様にブランケットなどのひざ掛けを用意するのもよい対策です。夏の換気タイム用には各自持ち帰っていただけるうちわをプレゼントするのもアイディアのひとつです。店舗の広告を入れると、なおいいですね。
キッチンの衛生管理
衛生管理は客席だけでなく、キッチンでも当然行わなければなりません。かつては、営業中でもすぐに水を流せるウェットキッチンが主流でした。それが欧米の考え方が入ってきて床はドライに保ったドライキッチンのほうが乾燥しているため菌の繁殖が抑えられてよいという方向も出てきました。
しかし、生の肉や魚介を扱う飲食店や中華料理店、フライヤーのある店舗では、飛び散った飛沫をその都度拭き、消毒していたら作業効率が非常に悪くなります。そのため、水で洗い流せるウェットキッチンも業態によっては需要があります。
ただし、ウェットキッチンは床が濡れているため、菌が繁殖しやすいというデメリットがあります。そのため、ウェットキッチンでは毎日しっかり水を流して清掃するのが衛生管理の大きなポイントになります。
ドライキッチンはその性質上、床が濡れた時の対応をしっかりする必要があります。床が濡れることを前提としていないため、濡れた場合は水気をよくとり、さらに換気をするなどして、できるだけ早く乾燥させないと菌が増殖し、ドライキッチンにしている意味がなくなります。
ドライキッチンにするか、ウェットキッチンにするかについては、店舗設計の時に既に決めて運用しているので、それぞれの特徴をよく理解し、適切な衛生管理を行っていきましょう。
見逃せないグリーストラップ
飲食店のもうひとつの衛生管理、それはグリーストラップの清掃です。グリーストラップはキッチンから出る排水をそのまま下水に流さないための装置です。蓋を閉めている限り見えませんが、普通に使っていると、バスケットは油汚れが堆積するだけでなく、排水中のタンパク質が腐敗し、悪臭の原因にもなります。また、堆積した汚れはネズミや害虫を呼び寄せる原因のひとつにもなるので、できるだけ綺麗に保っておきたいところです。
しかし、グリーストラップはその名のとおり、排水中の油が下水へ流れていかないようにする装置です。そのため、油汚れが堆積するので、清掃はとても大変です。汚泥を取り除くのは誰にとってもよい気持ちのしない作業ですし、そのあとバスケットをブラシでこすってもなかなか汚れが取れないだけでなく、こすった時に飛ぶ飛沫は菌だらけなので、キッチンが不衛生になる大きな原因になります。また、だんだん床が油でヌルついて、滑りやすくもなります。
そこでグリーストラップの清掃をするわけですが、これは営業終了後にアルバイト店員が悪臭に耐えながら時間をかけて不衛生なバスケットを洗浄するのでしょうか? もしくは店長や社員の誰かが、そうでなければ、業者に頼んで清掃してもらうのでしょうか?
従業員が行う場合はかなり大変な仕事になります。まず、時間がかかるので、その分、支払う時給は増えるでしょう。もちろん、お金を払って業者に任せる選択肢もあります。業者に頼めば、仮に清掃が2か月に1回だとしても、その分の料金が発生します。そして、その間はグリーストラップだけでなく、配管も汚れ続けるため、悪臭と害虫に悩まされなければなりません。ゴキブリなどの害虫が客席へ出ると店舗の好感度が大きく下がり、お客様が離れていく原因にもなります。
グリーストラップ
グリーストラップの汚れは生分解する
そんなグリーストラップの悩みは、微生物による生分解を行う洗浄液を使うと簡単に解消するのをご存じでしょうか。洗浄液を使って1時間程度浸け置きするだけで、汚れがかなり分解されます。汚れが分解されたところでほんの数分をかけてバスケットを洗えば清掃は完了します。
分解された汚れは二酸化炭素と水になるので、まず悪臭がなくなります。それだけでもとてもラクになるはずです。そして、たくさんの洗剤を使っていた頃が嘘のように環境に優しくなります。さらに、排水管の汚れは油と菌の集まりなので、これも徐々に分解され、きれいになっていくため一石二鳥。悪臭に耐えながら堆積した汚れと格闘しなくてよくなるので、一石三鳥といえるかもしれません。害虫が出なくなれば一石四鳥ですね。
まさに福音といえるグリーストラップ汚れの生分解。これならやればやるほど、配管がきれいになり、グリーストラップは汚れにくくなるというおまけがついてきます。そして、ネズミや害虫も減るので、これなら積極的に清掃したくなりますね。生分解を利用した清掃は、従業員にも環境にもお財布にも優しいのです。
そして、気になる床のヌルつきも、生分解性の洗浄液で掃除すれば簡単に綺麗な滑りにくい床へ戻ります。
コストをかけずに、ラクに、便利に
グリーストラップの清掃にかかるコストとはお金だけではありません。それにかかる時間や従業員が感じるストレスも、業務上の大きなマイナスになるのです。
そして、手やお金をかけただけの効果がなければ困ります。そのために大切なのは、「必用な効果を得るために何を使うか」です。例えば業務用通販サイトなどには、コスパがよくラクに作業性を上げる資材がたくさん掲載されています。必要な物を必要なだけ、簡単に購入して店舗を清潔にすることで、店舗の好感度は上がっていきます。
衛生管理の大切さ
このように店舗には衛生を保たなければならない箇所が多いものです。それは新型コロナウイルスの流行で大きくクローズアップされましたが、本当は新型コロナウイルスとはかかわりなく、衛生管理は大切なのです。
衛生管理が行き届かないとどうなるかといえば、まず、お客様の健康に問題が出ます。飲食店は新型コロナウイルスだけでなく、当然のことながら食中毒にも細かく気配りしなければならないのです。
そして、同じことが従業員にもいえます。従業員の健康を守ることは営業に支障を出さないだけでなく、従業員をより大切にすることにつながります。そうしてできた労使間の信頼関係は、繁盛店を作るうえでとても大切な財産になるでしょう。
キッチンの衛生管理は菌の繁殖を防ぐだけでなく、悪臭や害虫を遠ざけることにつながり、店舗の好感度を上げる大きなポイントにもなります。
そのほかの衛生対策
ウィズコロナの時代、必用となったのがお客様入店時の体温チェックです。この時使用するのは、お客様の体に直接触れず、一瞬で計測できるタイプのものが衛生的で時間もかからず便利です。これは既にほとんどの店舗で導入されていると思います。
ビュッフェスタイルを再開するのであれば、お客様には使い捨て手袋を使用していただきましょう。そして、これまでより多くのトングを用意し、こまめに取り換えるとさらに安心です。
また、テーブルに置いたカゴなどの中にカトラリーをまとめて入れておくスタイルの飲食店や、箸立てを置いている飲食店は多いと思います。しかし会話で発生する飛沫のことを考えると、これはやめておいたほうがよいと思います。その分手間は増えますが、お客様の安全を考えるとやむを得ません。
さらに、調味料入れはお客様が着席するたびに消毒したものを出し、除菌できるウェットティッシュをテーブルに置いておくなど、面倒でも工夫によってお客様の安全を守ることができるはずです。ウィズコロナの時代は、テーブルにできるだけ物を置かず、メニューも消毒できる材質のものにするなどの対策が重要です。
ウェットティッシュ
対策はお客様の目に見えることも大切
こうしたテーブルに物を置かないなどの対策はよく目に見えるため、対策をしていることがお客様へダイレクトに伝わるので、お客様に安心感を与えることができます。
菌やウイルスは目に見えません。そのため「きちんと衛生管理しています」ということが、パーティション以外にも、お客様が目で見てわかるような工夫が必要になってきます。
例えば、お客様の目の前でテーブルの消毒をする時のダスターはどのようなものを使っているでしょうか。これが汚れていると、いくら洗濯してあっても清潔感はありません。
この場合、洗濯が不要で使い捨てできるダスターを常備して、まめに取り換えることでお客様からの印象をよくすることができます。店舗の清潔感はとても大切です。清潔感がない店舗にはお客様は二度と戻ってきません。見た目の清潔感はお客様にアピールできる最大のポイントです。細かく気を配り、使い捨てで対応したほうがよいものは、切らさず常備しておくようにしましょう。
ダスター
まとめ
ウィズコロナ時代、店舗の衛生管理はより細かくやらなければならなくなりました。そして、新型コロナ以前の問題として消毒が大切なこともよくわかりました。消毒だけでなく、グリーストラップの汚れや悪臭をなくし、お客様の目から見てわかりやすい清潔感を表現するためには、さまざまなお役立ち資材があることもわかりました。
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